時効と言うと、刑事ドラマを思い浮かべる人が多いと思います。
これは刑事訴訟法の公訴時効のことを言いますが、法学用語の時効にはほかに、
民法の取得時効・消滅時効、刑法の刑の時効があります。
時効の定義は、
~一定の事実状態が一定期間継続した場合に、その事実状態が真実の権利関係か否かを
問わず、<権利の取得や消滅>という法律効果を認める制度のこと~
となります。
行政書士試験で問題となるのは、民法の取得時効・消滅時効 です。
その上で、次の三つの条文をしっかり読み込むことが大事になります。
第百六十二条<所有権の取得時効>
~1.二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者
は、その所有権を取得する。
2.十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、
その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権
を取得する~
第百二十六条<取消権の期間の制限>
~取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって
消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする~
第百六十七条<債権等の消滅時効>
~1.債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する~
行政書士試験では、これらの条文を基本に、時効の問題が出題されることが多いようで
す。
ちなみに、所有権は消滅時効にはかからないので頭に入れておいてください。
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それからもう一つ、時効について覚えておいてほしいのが、
<時効の援用>
です。
第145条<時効の援用>
~時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない
この条文の趣旨は、時効が成立するためには
・一定の期間が経過して、
・その利益を受ける人(時効の援用権者)が<時効の利益を受ける>という意思表示を
示す
必要があるということです。
時効期間が過ぎただけでは、権利の取得・消滅は確定されません。
時効の成立を主張することによって、権利が確定されるというこをを覚えておいて下さ
い。