行政事件訴訟には、大きく分けて4つの訴訟があります。
抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟
です。
さらに抗告訴訟は、
処分の取消訴訟・裁決の取消訴訟・義務付け訴訟・差し止め訴訟・ 不作為違法確認訴訟・
無効等確認訴訟
の6つに分かれています。この6つの中から、重要なポイントを紹介していきます。
まず取消訴訟ですが、行政庁が行った処分に不満がある場合、また行政不服申し立てを経た
上での結果(裁決・決定)の取り消しを求める場合に提起します。
取消訴訟を提起する上で重要なのは、
原告適格
です。
訴訟を起こすことができることを、原告適格があるといいます。
原告適格があるというのは、処分や裁決の取り消しを求める法律上の利益を有する者だけが
訴訟を起こすことができるということです。
行政事件訴訟法では、原告適格が認められた、もしくは認められなかった判例がいくつかあ
ります。
判例は、行政書士試験ではいろいろなところで出題されるので、参考書やネットなどで一通
り目を通しておくことをオススメします。
それから、行政事件訴訟法で大事なポイントをもう一つ。
執行不停止の原則
があります。
これは、たとえ取消訴訟が提起されたとしても、その処分が裁判所によって取り消されるま
では行政の執行が停止されることはないというものです。
例外としては、行政事件訴訟法第25条2項では
<重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき>
には、裁判所は執行の停止をすることができると規定しています。
また、執行停止は原告側による申し立てにより行われ、 裁判所がこれを認める決定をすれば
執行停止が行われます。
裁判所の職権により執行停止が行われることはないので注意してください。
また、執行不停止の原則の例外として執行停止が行われる場合がありますが、その場合、
行政側がどうしても困ってしまうときもあるかもしれません。
そんなときのための制度が、
内閣総理大臣の意義
というものです。
裁判所の判断と行政の判断がぶつかったときには、内閣総理大臣の判断を優先させる規定で
す。
執行停止のもう一つのポイントは、行政不服審査法との相違です。
執行不停止の原則は、不服申し立てにおいても同じですが、内閣総理大臣の意義の制度は行政
不服審査法にはありません。
覚えておいて下さい。
義務付け訴訟には、申請型と非申請型があり、さらに申請型には
拒否処分型と不作為型があります。
そして、義務付け訴訟を起こす時には、併せて提起しなければいけない訴訟があります。
拒否処分型の義務付け訴訟を提起するときには、取消訴訟または無効等確認訴訟を併せて、
不作為型の義務付け訴訟を提起するときには、不作為違法確認訴訟を併せて提起しなければ
いけません。